本日は,『呼吸最適化プロファイル 』をご受講いただきましたお客様の声をご紹介させていただきます.
※掲載に関しては,ご本人の許可を得ております.
・S. K 様
・男性 48才
・会社員
・運動歴: 太気拳,空手,サッカー(中高時代),ボート(大学時代)
【『呼吸最適化プロファイル』をお知りになったきっかけは何ですか?】
月刊秘伝 8月号 特集 → ブログを見た
【『呼吸最適化プロファイル』のどのような点に興味を持たれましたか?】
・科学的,客観的な方法論
・日常のトレーニングに活かしたい
【プロファイル後の率直な感想をお聞かせください】
・とても興味深かった
・これから練習にとり入れて実戦での効果が楽しみ
【プロファイルへの参加を迷われている方に一言メッセージをお願いします】
・データを見て,なるほどという感じでした
これからの練習のはげみになります
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S. K 様は,武術のトレーニングの一環として,『呼吸最適化プロファイル』によるリラクセーション呼吸の習得がご希望でした.
ご年齢は,48才ですが,年齢を感じさせない体つきと身体能力をお持ちです.
若い頃から運動に明け暮れ,大学時代は体育会系のボート部に所属していたそうですから心肺機能も大変優れておりました.
同時に無敗脳ヨガで「火の呼吸」も習得されており,組手の際に相手より先に突きや蹴りが無意識のうちに決まるようになってきたそうです.
ご本人が一番驚いています.
これは,ヨガによって直感力が高まったことを指しています.
元々,テクニックがある方は,ヨガのトレーニングによって潜在能力が発揮されると思います.
組手や試合では,こうきたらこうするといった型稽古みたいなことはできませんから,全て無意識の感覚の世界です.
それは,野生動物が様々な危機を察知する「自然感」と呼ばれる感覚です.
ヨガは,そういった,動物的な本能の力を呼び覚ましてくれます.
【安静状態】
(※グラフ上: 0.1Hz帯域(緑線)のパワー値 ※グラフ下: 心拍)
通常の安静状態ですので,深いリラクセーション時に高まる0.1Hz帯域のパワー値に目立った変化はありません.
【6.5回/分】
安静状態から1分間に6.5回の呼吸に変化させたことにより,0.1Hz帯域のパワー値だけが上昇しました.
出だしからかなりのパワー値といえます.
6.5回/分という呼吸スピードは,タイミングが早く,相当普段から呼吸法のトレーニングを積んでいないと0.1Hz帯域のパワーは高まりません.
心拍の波形も高く一定のリズムを刻んでいます.
この6.5回/分の呼吸ペースでも十分に心臓血管系システムに影響を与えています.
しかし,もっと良いペースが見つかるかもしれませんので,他の呼吸ペースも検証していきます.
●本人の語り:
・呼吸スピード: 意外に速く感じた.
・気分: 良い.
【6.0回/分】
0.1Hz帯域のパワー値が先ほどの1400PSDから2500PSD以上にまで高まりました.
1分間にたった0.5回呼吸回数を減らしただけで内部ではこのように大きな変化をもたらしています.
最適な呼吸ペースを分析するということがどれだけ重要なことかご理解いただけると思います.
●本人の語り:
・呼吸スピード: そんなに悪くはない.
・気分: 眠くなった.
【5.5回/分】
0.1Hz帯域のパワー値に目立った変化はありません.
しかし,何といいましても,波形のギザギザが消滅し,心拍がスムーズな波形を形成しています.
これは,呼吸ペースが合ってきていることを指しています.
●本人の語り:
・呼吸スピード: こっちの方が息がしっかり吐ける
・気分: 眠くなって腹式呼吸を時々忘れてしまう.
⇒ 実は,この6.5回/分〜5.5回/分までの測定時の3分過ぎたあたりからデータが少し乱れる傾向にありました.
ご本人の語りからも,眠気に襲われてと語っております.
データ上,眠気が襲ってきているのは決まって3分目以降です.
つまり,3分目あたりが,S. K様の集中力の持続時間といえます.
呼吸法に関しては,一般的な長さといえます.
ボクシングなら1ラウンド3分ですのでこの長さで大丈夫です.
その他,試合や格闘技,演技種目がある方は,競技時間中は一定の呼吸リズムと安定した心拍を目指します.
この呼吸と心拍を安定させるトレーニングはメンタルの安定性において極めて重要なことです.
S. K様の場合,武術ですので,もしかしたら3分より短くていいかもしれませんが,
あらゆる困難な状況を想定しますと5分の持続時間は欲しいところです.
今やご本人は,10分は楽に集中した状態で行えております.
何事も地道な継続したトレーニングが必要になってきます.
ちなみに測定途中に眠ってしまった場合は,呼吸センサーや心拍の状態から,どの部分からウトウトしてしまったのかだいたい把握できます.
ですので,解析時は,その部分を除いて分析を行っていきます.
測定が不可能なほど,長い時間眠ってしまった場合は,無理に起こさず,少し休んでから測定のやり直しか,別の日での測定になります.
これは,無理に起こして呼吸法を行ってもらうと必ずストレス反応が起きてしまうからです.
そういった意味ではとても繊細な測定といえます.
【5.0回/分】
0.1Hz帯域のパワー値が先ほどの2000PSD弱から3000PSDにまで増加しました.
しかし,心拍の波形が不規則でギザギザが混じり出しています.
●本人の語り:
・呼吸スピード: ゆったり大きく呼吸できた.
・気分: 良いが意識が2,3回飛んだ.
【4.5回/分】★最適な呼吸ペース(共鳴周波数)!
0.1Hz帯域のパワー値にそれほど大きな変化はありません.
しかし,心拍の波形にスムーズさが戻ってきて,高く安定してきました.
その他,様々な生データを比較検討した結果,S. K 様の最適な呼吸ペースは,4.5回/分ということが明らかになりました.
●本人の語り:
・呼吸スピード: いっぱい吸えて,いっぱい吐けた.
・気分: 良い.眠くもなく,前向きに行えた.
【まとめ】
最近分かってきたことは,最適な呼吸ペースでの呼吸法を行っているときは,リラックスしているのですが,
意識がしっかりしてきて,眠気がなくなるという体験者の方がかなり多く見受けられます.
まあ,これがリラックスしすぎず,緊張し過ぎでもないという中等度の覚醒水準なのだといえます.
これが極まった時に時間が止まったような「ゾーン状態」になるのだと思います.
下記に各呼吸法時の①呼吸の動き(紫線)と,②心拍の波形(赤線)のデータの一部をまとめさせていただきますので,どうぞご参考ください.
✔呼吸と心拍の頂が同じ線上に存在する
✔心拍の波形が大きくリズミカルに安定している
上記の点が呼吸ペースが変化する度に変わっていることがご確認いただけると思います.
【安静状態】
【6.5回/分】
【6.0回/分】
【5.5回/分】
【5.0回/分】
【4.5回/分】
4.5回/分の波形は見事なまでに綺麗ですので,下記の画像をクリックしていただいてグラフ全体をご覧下さい.
心拍が呼吸の動きに同調して大きくリズミカルに波打っているのがご確認できると思います.
呼吸法の世界はとても奥が深いです.
こういう分析を行い,まとめる行為もそれなりに大変ではありますが,それは私にとっての学びとしても必要なことなのですね.
毎日,呼吸と向き合って研究を行っておりますが,日々どうしてこんなことに今まで気づかなかったのだろうか?ということの繰り返しです.
真理は,常に自分のすぐ隣にある感覚なのですが,これがなかなか気づかないのですね…
…でも,だからこそ愉しいのかもしれません.