錦織選手,「ATPツアーファイナルズ」準決勝進出に向けて貴重な一勝をあげました.
ATPツアーファイナルズは世界のTOP8しか出られない大会で 日本人選手が出場できることはほとんど不可能というより考えもしなかったことです.
少なくとも20年前まではほぼ100%無理と思われていたでしょう.
それほど,テニスは競技人口も多く,プロリーグがあるため,いわゆる身体能力の高い欧米の選手たちがこぞって集まっているため, 個人スポーツの中では相当厳しい部類のスポーツに入ります.
今回,本来ならば,ライバルでビッグサーバーであるラオニッチ選手と対戦する予定でしたが, 負傷により,補欠出場のフェレール選手との対戦でした.
現在,フェレール選手のランキングは10位ですが,過去にトップ3位まで上りつめたことのある選手です.
第1セットは,フェレール選手の調子の良さと錦織選手の硬さが合わさり,4-6で失いました.
2セット目は6-4と接戦でしのぎ何とか奪取しました.
そのままの勢いで,第3セット目の第1ゲームの相手のサービスゲームをいきなりブレークしたのが 今回の試合のターニングポイントだったと思います.
ここでいつも錦織選手に競っては負けているフェレール選手のトラウマ記憶が脳に想起され始めたような感じでした.
そして,第3ゲームあたりから錦織選手の攻撃の激しさが増していき,第5ゲームで解説の松岡修造さんもおしゃっていましたが, 「圭は,今,スーパーゾーンに入っています!」とおしゃっていたように,全てが神がかり的なプレーでした.
このプレーのもとでは,世界のトッププレーヤーは誰も太刀打ちができないなと思いました.
あの早いタイミングで上から叩くようなラリーでさらに角度をつけられ,深さもある… そして時には叩くと見せかけてドロップショット… これが大事な場面でことごとく決まりました.
間違いなく現在,世界最高峰のハードヒッターのうちの一人といえます.
ベースラインでの打ち合いで現在,錦織選手と打ち合える選手は…そういないですね.
これは,予測力が高く,早い段階で相手の打ち返してくるコースを読む力に長けているために成せるテクニックといえます.
伊達選手も同じような予測力,反応の早さをもっているのですが,これらのテクニックは逆に 身長があまり高くないアジア人だから小回りが利き,可能にしている技術なのかなと個人的にはよく考えています.
…いずれにしても今日の第3セット目はほんとに鬼のようなプレーでしたね.
最高のプレーだったのではないでしょうか?
P.S.
“ゾーン”という言葉は,意外に一般的には認知されていないというのが現実ですね.
スポーツをされている方なら,親しみのある言葉なのですが,実はあまり知られていないという場面にちょくちょく遭遇します.
…知ってる方は試しに周りに聞いてみてください^^
「ゾーン」とは簡単にいいますと最高の精神状態,集中状態を指し, 気づいたらゴールをしていた…相手をノックアウトしていた…というような無我の境地のことです.
心理学領域では「フロー」と呼ばれ,スポーツ分野では「ピーク・パフォーマンス」と呼ばれています.
脳波の周波数成分では,13~15Hzの脳波と推測されています(※アルファ波は8~13Hz).
リラックスしつつ集中しているような絶妙な状態,中レベルの覚醒状態ですね.
競技間の差はありますが,中レベルの覚醒がピーク・パフォーマンス,ゾーンには欠かせない条件であることは間違いありません.