アスリートはクンダリーニヨガだけでOKか?
私の所は,プロの格闘家の方も多数お越しいただいておりますが,
パワーあり余る格闘家の方でもクンダリーニヨガはかなりハードです.
それは,「火の呼吸」と呼ばれるクンダリーニヨガの代表的な呼吸法に秘密があります.
火の呼吸は,座禅でいうところの丹田呼吸にあたり,
文字通り,炎のごとく強烈に臍下丹田を熱し,活性化するための呼吸法です.
火の呼吸に関しては速さのみがクローズアップされますが,なぜ速いのか?
それは速く呼吸すること自体が目的ではなく,
臍下丹田を強く刺激するために素早くおへそを引き込むことで,
結果として速くなっているだけなのです.
ですので,時折,速くて浅い呼吸になっている方がいらっしゃいますが,それは本末転倒で
慣れないうちは速さよりも一回一回の力強さを意識されることをお勧め致します.
力みなく呼吸音が爆音に変わってくれば速くしていってOKです(120-180回/分).
こうしたお腹をえぐるような激しい火の呼吸を様々なポーズに合わせて行いますからハードなのです.
ポーズ中に呼吸法を行うヨガは,数多く存在するヨガの流派の中でも私の知る限りクンダリーニヨガだけです.
伝統的ヨガにもそのような流派はありません.
クラシカルなフィジカル系流派のハタヨガと異なり,
火の呼吸を併用することで格段にエネルギーの活性が高まると先人達は発見したようです.
ちなみに,クンダリー二ヨガ・マスターの故ヨギ・バジャン師も
渡米前のインド時代に首相や高官たちにハタヨガを指導されていました.
ただクンダリーニヨガに比べ,
修行の進歩(チャクラやクンダリー二活性)に時間がかかることに気づき,指導を止めてしまいました.
ただ,私は渡米後も両方指導すべきだったと考えています.
なぜならクンダリーニヨガの最大の弱点はリラクセーション・テクニックに弱いところだからです.
ヒーリング・テクニックもあることにはありますが基本的に活性化のヨガなのです.
ですので私の所では,伝統的な“心のヨガ”と呼ばれるラージャヨガをリラクセーションヨガとして取り込んでいるのです.
活性化と沈静化,両方バランス良くやらないと自律神経バランスも崩れてしまいます.
さらにクンダリーニヨガには,ハタヨガのような身体を大きく伸展させるようなポーズが少ないので
アスリートに必要な柔軟性の向上もあまり期待できません.
そういったことも合わせてクンダリーニヨガ以外にラージャヨガは必須の伝統的ヨガなのです.
この2つのヨガは代々,二大伝統的ヨガとして見なされ,
ラージャヨガは“王者のヨガ”と呼ばれ,クンダリーニヨガは“伝説のヨガ”と称されていました.
クンダリーニヨガの方が秘密裏に行われていた分,ミステリアスなまま近代にまで来ました.
いずれにしましても,これらのヨガは,
1920年代にインドの研究所にて改変された現代ヨガとは中身も概念も全く異なるものなのです.