呼吸法で影響を受けるのは副交感神経!
呼吸法が自律神経に影響を与えていることはもはや周知の事実といえます.
ただ,どうして呼吸法をすると,自律神経バランスが改善されるのか?
と聞かれると,ヨガの指導者でも言葉に詰まってしまいます.
ヨガの指導者だけでなく,実は生理学者にとっても呼吸器系は難しいテーマなのです.
呼吸法が自律神経に与える影響についてきちんと説明するとなると複雑さを極めます.
呼吸法による自律神経の影響として最も現れやすい例に心拍の増減があります.
息を吸うと交感神経が活性化し,心拍が速くなり,
息を吐くと副交感神経が活性化し,心拍が遅くなる現象です.
この原理も単純ではありませんが,
ざっくりいいますと,呼吸法により,延髄の「呼吸中枢」と肺の「伸展受容体」が刺激を受け,
迷走神経(副交感神経)に影響が与えられ,結果として心拍が増減する.
ということになりますが,ざっくりでもこのように意味不明となります.
…実は,呼吸法をすると,自律神経の中でも,特に副交感神経が影響を受けるのですね.
車の運転に例えると分かりやすいかもしれません.
オートマ車では,ドライブモード中にブレーキペダルから足を離すと勝手に前進します.
つまり,我々の身体も車と同じで基本的にいつでも素早く活動できるように
常に交感神経,アクセルが踏まれている状態なのです(アイドリングに近い状態).
息を吸うとブレーキペダルから足が離された状態になり(副交感神経オフ),車は前進します(心拍増加).
そして,息を吐くとブレーキペダルが踏まれた状態になり(副交感神経オン),車は止まります(心拍低下).
つまり,呼吸法による心拍の増減は,ブレーキペダルを離すか,踏むか,という行為なのです.
専門的には,息を吸うと,迷走神経(副交感神経)が抑制され,吐くと,亢進する
という言い方になります.
まとめますと,呼吸法による心拍の増減には,副交感神経のオン/オフが大きく関与し,交感神経はあまり関与しないということです.
自律神経系や循環器系と異なり,呼吸器系は,様々な事が複雑に絡みあるため,膨大な量の知識が必要になります.
ガスも入ってきますしね.
自律神経や,メンタルの状態を,意志やイメージの力でコントロールしようとするのは極めて困難ですが,
呼吸法を活用すれば,いとも簡単にそれらを改善することが可能です.
呼吸法は,直接的に自律神経系に作用するため,自己コントロール法として,極めて効果が高いテクニックなのです.
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