実力のある者が
「負けてもいいから,おもいきってプレイしよう!」
と真に思って試合に挑んだ場合,
実力が下の者が勝つのはかなり厳しくなります.
自分より格上の選手の場合,心技体において,特に「技」,次に「体」においては勝つことは難しく,
格下の選手が勝つには,「心」の部分から揺さぶりをかけ,プレッシャーをかけ,「体」に影響を与え,最終的に「技」に影響を及ぼす必要があります.
心の状態は身体の動きに影響を与え,動きが悪ければ,本来の技を発揮することは不可能だからです.
もし「格下の選手に負けることは恥だ…,みっともない…」というメンタリティで試合に挑めば,たちまち負けられないプレッシャーに襲われ,
過去の苦い体験(トラウマ記憶)がフラッシュバックされ,不安の働きに大きく関与する脳の「扁桃体」が活性化し,
交感神経系が賦活,ストレス反応のループが始まってしまいます.
「負けたらどうしょう…」という未来に意識が向いた結果,目の前のプレイに集中している状態(マインドフルネス状態)ではなく,心ここにあらずの状態になってしまいます.
ただ,結果を意識せず,プレイのみに集中するという行為は,本番でいきなり行うことは困難です.
つまり,トレーニングが必要という事です.
普段からライバルや格下の仲間たちと積極的にスパーリングなどの試合形式に近い練習をし,
その時に「負けてもいいから自分がやりたいようにプレイをしよう!」と真に思えればOKです.
そこには,不安もプレッシャーも現れてきません.
逆に真に思えていない場合は,心拍数が上昇し,不安感が襲ってくるでしょう(何となく不快な感覚).
絶対に負けたくないというのなら,競技はまず行えなくなります.
それは,将棋でいえば,駒を一切動かさない状態です.
絶対に負けませんが,逆に勝つこともできません.
これは,ビジネスにもいえるのかもしれませんが,
何かをするという事は失敗はつきものですし,失敗を恐れて何も行動しなければ,何も開けてこないということです.
守りはいつか破られます.
「負けてもいいから思いきってやろう!」という精神状態は,ポジティブな状態ですので,
見た目は変わらなくとも,心では攻めている状態といえます.
「攻撃は最大の防御」とは,人の精神状態にも当てはまるのです.