ヨガの雑誌か何かで,ある医師が「ヨガの倒立姿勢をとっても,脳血流量は変化しない」ということを述べていましたが,普通に姿勢によって脳血流量は変化します.
例えば,座位から仰向けの姿勢,うつ伏せなど,つまり腹圧が変化することで,脳血流量は変化します.
また,何かしら身体を動かせば,心拍の増加に応じて脳血流量も増加します.
ただ,それは,心臓のポンプ作用の結果であって,脳の神経が活性化したことによって,血流量が増加したわけではないので,脳の活性化による血流量の増加とは言えません.
ヨガのポーズによる脳血流量の変化は安静状態からの腹圧変化や心拍の影響がかなり影響しています.
もし,脳の活性化による影響かどうかを確認したいのであれば,
頚部から超音波ドップラーで中大脳動脈,前額部の表面皮膚血流と,頭表の近赤外光分光法による脳血流動態の違いを確認しなければいけません.
同じような変化をしていた場合,脳の神経活性による脳血流量の局所的変化ではないということになります.
生体機器メーカーも携帯型脳血流計測器なるものを開発してビジネス現場に売り込みたいのでしょうが,
仕事中の脳血流量を計測しても身体が動いたり,立ち上がったりすれば変化するのは当然ですので,導入を検討されている企業はご注意を.
また,安静状態でも泣いたり怒ったり等,表情筋が動くことでセンサーへの入射角が変わり,脳血流が変化して見えることがありますので,こちらも合わせてご注意を.
またさらに本格的な局所脳血流の計測となると,同じ刺激となる動作を複数回繰り返し,加算平均処理を施す必要があります.