4-4-8呼吸,つまり4秒で吸って,4秒間止めて,8秒で吐くという呼吸法が,
心身に好影響を及ぼす,具体的には,動脈硬化のリスクを下げる,といったことが書かれており,
最近時折見かける呼吸パターンでしたので,以下の論文を読んでみました.
『Acute effects of the 4-4-8 breathing technique on arterial stiffness in healthy young men』
Ryota Kobayashi, Hideyuki Negoro
Cardiol J 2024;31(3):418-426.
まず,どうして,Slow Breathingの中でも,4-4-8呼吸を採用したのか,その経緯が良く分からなかったです.
といいますのも,4秒で吸って,8秒で吐くのように間に息を止めない呼吸の方がよく知られているからです.
そして,このSlow Breathingの中でもポピュラーな4-8呼吸をベースとして,ただ何もしない群との比較ではなく,3つの群で比較検討して欲しかったという希望があります.
そうしないと,この4-4-8呼吸の最も特徴的なパートである保息の意義が分からないからです.
個人的には,4-8呼吸でも同様の効果が出ると思いますが,この保息による違いが知りたかったです.
また,ガイダンスで呼吸法をレクチャーしてから実際の実験に移ったと明記されていますが,
まず未経験者に対して直前にレクチャーしただけで呼吸法はきちんと行えないと思います,経験的にも.
ですので,そもそも被験者らは,呼吸法をきちんと実践できていたのか?という疑問が残ります.
ただ,実験前に呼吸法による効果が出てはいけませんので,プラクティスとして,簡単な練習時間を1週間前から10分ずつ,Zoomでレクチャーなどの期間を設けた方が良いかなと思いました.
結果,この論文だけですと,4-4-8呼吸が特別に良いということは分からず,
呼息延長に伴う呼吸回数の減少に伴い,血圧や心拍の減少につながったのだという今までの結果を踏襲したものだといえます(グラフ下に続く).
個人的には,試合や試験など,時間がない場合は,間に保息は設けない方が,息を吐くローテーションが早くに回ってきますので,副交感神経の活性や心拍の低下には有利だと思います.
(ここら辺は,実際に比較検討しないといけませんが)
この「保息」という行為は,本来,リラクセーションの為に行うのではなく,30秒から1分近く息を止め,気(プラーナを)を身体中に循環させるためのヨガの呼吸になります.
しかし,この保息をそうした目的で使うのであれば,経験則になりますが,息を吸ってのバンダ(逆腹式呼吸)を使った方が効果的だと思います.