2024/10/07 カテゴリ:ニューロフィードバック

脳波トレーニング「ニューロフィードバック」の信憑性

今現在の自分自身の脳波の状態や自律神経の状態を可視化させながら自己コントロールできる方法があることを知った時は,すごく感動したのを覚えています.

 

たまたま大学院の研究室にそうした測定装置が導入され,はじめは嬉しくて毎日おもちゃのようにいじっていました.

 

それが今からだいたい15年程前の話です.

 

そして,実際の使い方や臨床・研究に関する情報を手に入れるために毎年のように海外の学会やワークショップに足を運びました.

 

日本人は私しかいませんでした.

 

こうした人の生体情報である脳波や心拍,呼吸,筋電図などの情報を活用して自己コントロールを促す方法を「バイオフィードバック」と呼びます.

 

そのバイオフィードバックから,脳波や脳血流など,脳に特化したトレーニングを「ニューロフィードバック」と呼びます.

 

ニューロフィードバックは,脳に特化している為,バイオフィードバックよりも派手さがあり,臨床心理士やコーチ,医師など様々な人たちに好まれました.

 

しかし,このニューロフィードバックを扱うには,装置の正しい取り付け方,そのトラブルシューティング(これが最も重要),神経生理学,心理学,セラピーの知識など,膨大な知識が必要になってきます.

 

そして,取り付け方法や測定に関しては,過去に実験経験がないと,正しい測定やトレーニングを行うには,様々な場面で行き詰ってしまう可能性があります.

 

また,心理学をメインに勉強されてきた方の場合,生理学的なバックボーンがないので,データの判読が困難になってきます.

 

逆に生理学者は,心理学的なバックボーンがないために,データは判読できても,どうしてこのようなデータが導き出されたのか?という背景考察が困難になってきます.

 

今は,ニューロフィードバックも,多チャンネル式の脳波計で,何百人もの数にも及ぶクライエントの脳波データが含まれるソフトを元に,その平均脳波に近づけるやり方が主流となっています.

 

事前に,多チャンネル式の脳波計でクライエントの脳波をチェックし,その後,トレーニングに移っていくのですが,このやり方の場合,事前の脳波チェックがあまり機能していないように思えます.

 

そして,平均脳波に寄せるトレーニングは,取り入れられている施設の数に比べれば,論文の数も少なく,効果はそれほど高くないと個人的には考えています.

 

脳波で分かることは,脳の「興奮-鎮静」ぐらいしか,極端な話,分かりません.

 

ですので,脳のマッピングをしても,それと精神疾患と結びつけるのはまだまだ早計で,それを元にトレーニングプログラムを個別に組むのも,現時点では,相当困難といえます.

 

もちろん,脳波はこうしたニューロフィードバック以外に,元々,大学病院の検査,例えば,脳腫瘍や,てんかん,若年性痴ほう症などの発見に役立てられて来,

 

本来の病院の検査で使用される脳波分析は睡眠研究も含め全く問題ないです.

 

問題は,脳波をトレーニングとして扱うニューロフィードバックといえます.

 

こうした理由から私の所では,当初からアメリカ式の多チャンネル式の脳波計でのトレーニングは行っておらず,論文の数やそのシンプルさからドイツ式のものを採用しています.

 

実際,ドイツ式のトレーニングの場合,効果持続が半年は最低持続し,ADHDに対するトレーニングとしても効果を上げ,論文にもよく取り上げられているからです.

 

ニューロフィードバックに関する,全体的な情報を求めている方は,バイオメカニズム学会誌(Vol.47 No.4)で私が執筆している項がございますので,よろしければご参考下さい.

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