本番でのプレッシャーを最小限に食い止めるには,
火事と同じで初期段階で食い止めることです.
つまり,「結果」に執着せず,プレーだけに集中し,「扁桃体」自体を興奮させない方法です.
これができれば理想的ですが,それほどあまくないのが競技スポーツの世界です.
記録がかかっていたり,負けられない試合も数多くあると思います.
そういった重圧からプレッシャーが突如現れ,扁桃体が興奮することを事前に想定しておく必要があります.
扁桃体が興奮してしまった場合,それを防ぐ手立てはないのでしょうか?
鍵となるのは脳の前頭前皮質です.
前頭前皮質の一部の背外側前頭前野は,扁桃体の興奮を抑えてくれる機能を有しています.
ここを鍛えておけば扁桃体からの出力を抑えることが可能になってきます.
それには筋肉と同じように背外側前頭前野を鍛え上げ,パンプアップさせる必要があります.
ここを肥大させるには自分自身への意識を深める行為,自己モニタリング,内省状態で行うヨガが必要になってきます.
ポーズの優劣ではなく,呼吸法やヨガのポーズを行っている時の体内の変化をモニタリングすることでこの部位はどんどん肥大化していくことが近年の脳科学でも明らかです.
同時に心拍数の上昇や筋緊張を生み出す要因の交感神経の働きを抑制するために副交感神経の働き,反応性を高めておく必要があります.
副交感神経の働きを高める最も効果的な方法は禅の丹田呼吸などの腹式呼吸です.
特に吐く息を長くすることで副交感神経が活性化されます.
ただ近年の多数の論文でも明らかになってきましたが,人によりリラックスに最適な呼吸ペースが異なることが分かってきました.
自分に合った呼吸回数を専用のマシーンで分析をし,最適な呼吸回数での呼吸法をくり返し行うことで最大限のリラクセーション効果が得られます.
あがりや不安を抑えることができましたら次に,スポーツのパフォーマンス発揮において一番重要な脳の覚醒水準のコントロールに向けたトレーニングに移っていきます.
競技の種類によって最適な覚醒水準は異なりますが,雑念を減らし,集中力を高める必要があることはいうまでもありません.
スポーツで大切なのはだらけすぎず,集中しすぎずの中レベルの覚醒水準です.
この覚醒水準のコントロールを最も得意とするのが脳波を使ったニューロフィードバックと呼ばれる最新のメンタルトレーニングです.
これは,快感情と記憶を利用した条件付トレーニングです.
人間はおいしいものを食べるたり,楽しかった体験など快の感情を受けるとその記憶を保存し,同じ行動を取ろうとするように脳が働き出します.
これを報酬系回路の活性化といいます.
ニューロフィードバックの場合,快の感情として最適な脳波の状態になると映像が動いたり音が出るように設定すると,脳がそれを快状態と認識し,次第にどういう状態が最適な脳波状態かということを脳自身が自分で記憶していきます.
これにより,雑念を減らす脳波を減らしたり,集中力を高める脳波を増やすことが理論的に可能になってきます.
こういったトレーニングを数十回繰り返すことで脳波の周波数成分が変化してくることが分かってきました.
実際にヨーロッパを中心に注意多動性欠陥障害(ADHD)の児童に対する研究では,脳波の変化とともに態度の落ち着きが多数確認されるようになり,その流れで現在ではアスリートのゾーン,ピークパフォーマンスと呼ばれる最高の精神状態をつくりだすためのトレーニングで応用されています.
安静状態でこうしたゾーンに最適な脳波がつくりだせるようになれば,ストレスやプレッシャーがかかった状況下でもつくりだせるようにして実践に向けて準備をしていきます.
これが当スタジオにおけるメンタル強化の概要となります.
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