本日は,当スタジオに7ヶ月程前から定期的に通っていただいているお客様からいただいたメールをご紹介させていただきます.
※ご本人のご了解を得ております.
・性別: 男性, 年齢: 30才, 職業: 会社員
・トレーニングの目的: 大舞台でのストレスやプレッシャーの克服
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辻 先生
昨日はお世話になりました。
イベントの運営はトラブルもなく無事終えることができました。
司会業も目立ったミスもなく、無難に立ちまわれたと思います。
懇親会にて参加者の方から「司会お上手でしたね」
とお褒めの言葉までいただきました。
終始緊張はしていましたが、緊張の波は少なかったです。
前回は最初に緊張しすぎて後が楽になる(感覚が麻痺する)感じでしたが、今回は終始緊張感を持った中で司会をしておりました。
振り返ってうまくできた要因として考えられるのは三つありました。
・司会をうまくやろうとか自分をカッコよく見せたいとか雑念や感情が浮かぶことなくやれたこと。
・原稿の内容を必要最小限に留めて練習をほとんどしなかったことで、自分の発する言葉に集中できたこと。
・言葉の言い間違いがいくつかあったことに気づきましたが、
間違えたことを悔やんだりしたのは少しの時間ありましたが、引きずることなく進められたこと。
「良い」「悪い」の評価付けをしないことが自分のなかで少しづつ浸透しつつあるな、と今振り返ると思います。
今回の経験は単に成功しただけではなく、こう言った気づきを得られたことも大きな経験となったと思います。
どうもありがとうございました。
19日よろしくお願いたします。
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こちらのお客様は,「サイバーヨガ」のリラクセーション・プログラムを定期的にご受講いただいております.
最近は,良い意味でご本人の中でのこだわりみたいな部分が取れてきたように思われます.
ですので何が起きてもタフになってきました.
今回のケースでは,自分をよく見せようとせず(「結果」を意識しない),
また自分自身を客観的に見れている(「今ここ」に集中)ところがみてとれます.
徹底して「今ここ」に集中するトレーニングを行ってきた結果ですね.
人が不安に陥るときはほとんどのケースで,未来(予期不安)や過去(トラウマ体験)への不安が脳に想起されます.
ですので,お釈迦さんは,常々「今」に集中することの大切さを説いてきました.
朝起きた瞬間は,最高のパフォーマンス状態です.
それは,昨日の出来事もこれからの出来事にも意識が向かっていないからです.
それが,15秒,30秒も経てばすぐに意識は昨日のことや今日の試合やプレゼンのことに向かいます.
つまり,もう過ぎ去ったことや,まだ起きてもいないことに対して不安を抱くようになり,メンタルが悪化していきます.
この現象は,人間を危機から守るために脳の「扁桃体」が興奮するために起こります.
危機を事前に回避するという動物時代からの進化の過程で獲得された能力です.
しかし,人間はこの部分の能力があまりにも発達しすぎ, まだ起きてもいない遠い未来にまで不安を抱くようになってしまいました.
「扁桃体」が興奮すると交感神経が活性化され,緊張状態になります.
こういった負のスパイラルを起こさないためにも意識を「今」に集中させる必要があります.
「サイバー・ヨガ」では,ストレスやプレッシャーが加わっている状態を「見える化」させます.
ですので「結果」を強く意識した状態,「今」に集中している状態のそれぞれの状態においてどちらがリラックスをしている状態なのか?
または,本当に「今」に集中することでパフォーマンスは向上するのか?
ということを実際のデータをリアルタイムに確認しながらトレーニングを行うことができます.
「見える化」することで,自分がどれだけストレスに強くなったのか?
ということが確認でき,自信がどんどん身についていきます.
安静状態でしっかりリラックスできるようになれば,
次にストレス負荷を与えてその状態から回復できることを目指します.
こういったストレスに対する抵抗力のことをストレス耐性,専門的には「レジリエンス」と呼びます.
これからのストレス社会において,リラクセーションだけでは人間のメンタルを一定に保つことは困難といえます.
それよりもストレスに振り回されない,リラクセーションを必要としない強靭なメンタルを獲得することが望まれます.
ヨガスタジオや禅寺のようなリラクセーション空間でリラックスできてもそれは,試合やピリピリした職場の前では無力に近いといえます.
ヨガでしっかりリラックスするトレーニングは,空手でいう「型稽古」にあたります.
問題は「組手」のような実戦形式でのトレーニングが抜け落ちているところです.
「型稽古」からいきなり「本番」という舞台に立たせるためになかなか思うように本来の力が発揮できないのではないでしょうか?
当スタジオでは,「型稽古」として「無敗脳ヨガ」を行い,「組手」として「サイバー・ヨガ」を行っています.
後は,各分野で場数を踏み,
試しては修正するという「数稽古」を繰り返していくうちにとても強靭なメンタルになっていることに気づかされると思います.
かの宮本武蔵もそうしてきました.
実戦を経験するのはとても怖いものです.
特に彼の場合は生死をかけた戦いでしたからなおさらですね.
「失敗=死」という最も厳しい世界です.
それでも実戦を60回以上も繰り返し経験してきたのは,
実戦を経験しなければ自分自身の真の成長は得られないという考えが根底にあったからだと思われます.
あの実戦経験があったからこそ,晩年に『五輪書』を書き上げることができたのだと思います.
『五輪書』は,単なる戦術や精神論を述べた書物ではありません.
どちらかといいますと,「実践的なヨガの書」というイメージです.
宮本武蔵もはじめての戦いはとても苦戦したと思います.
繰り返し戦いを重ねていくうちに自己の成長が促されていったのだと思われます.
このように生死をかけた状況でも生き抜いていけるのも人間の強さの一部です.
それは,人間には進化の過程において,身についてきた環境に対する「適応能力」があるからです.
体力で表すなら「防衛体力」と呼ばれる体力で,飢えや渇き,寒さ,などの精神的,肉体的ストレスに対する強さです.
※一般的なパワー,スピード,持久力は「行動体力」と呼ばれます.
ヨガの行者さんは,ヒマラヤという悪環境の中で布一枚で過ごし,食べ物もほとんど何も口にしません.
それでも心身ともにとても健康で長生きです.
ストレス環境に適応し,乗り越えた結果,強靭な精神と肉体が得られました.
ストレスに対して強くなるにはストレスが必要なのです.
「毒を以て毒を制す!」
強靭なメンタルを獲得する過程において,これほどぴったりくる言葉はないと思います.